ベルギーの冬季うつ no.1

臨床心理士の川瀬まりです。私はベルギーに住む日本の方々に、この国の好きなところ嫌いなところを聞くことがあります。人が優しい・冷たい、生活しやすい・しにくいなど反対の意見を聞くこともあり、 人の体験やその受け止め方は 千差万別だなとつくづく思います。そんななか、皆さんがほぼ例外なく賛同されるのが「ベルギーの冬は長くて暗くて、気が滅入る」というものです。

ベルギーは日本と比べて確実に緯度が高いので(日本と同じ緯度は地中海の辺り)、冬の日照時間が短くなります。加えてイギリスと同じように、大西洋から吹く湿った風の影響で雨や曇りの日が多く天気が変わりやすい。マイナスの気温でも青空が見えるとずいぶん雰囲気が違うものですが・・・。

さらにヨーロッパには夏時間、冬時間があります。もとは夏場のエネルギー節約を目的に始められたシステムで、夏に時計の針を1時間早めます。実はこの1時間の変化が思ったよりに人に負担をかけていると言われているのです。 体内リズムが乱れ、もとに戻るのに1週間かかったという実験報告もあるくらいです。心理的に 、夏時間から冬時間に変わるといきなり日が短くなったように感じます。そのぶん朝は1時間分早く明るくなるわけですが、日暮れの早さの方が強く印象に残ります。ですから、多くの日本の方々がベルギーの冬に苦手意識を持つのは自然なことだと思うのです。

元来、植物にとっても動物にとっても越冬というのは厳しいものです。例えば動物が冬眠をするのは餌が少なく寒い冬を乗り切る為だと言われています。人間も昔から冬を乗り切る為に、保存食を作るなど色々な「冬支度」をしてきました。 気功の世界でも冬はエネルギーが低下するので養生する季節だと言われています。 冬に活動性が鈍るのは、これまたごく自然なことなのです。

 

けれども、冬が嫌だ、憂鬱だ、という以上の反応が起きる場合があります。

日本でも近年は「冬季うつ」という言葉が一般化してきました。Winter Blueなどとも言われます。

冬季うつは季節性情動障害(Seasonal Affective Disorder=SAD )の一つで、簡単に言うと毎年冬になるとうつっぽい症状が出て春になると消えていく、というものです。 高緯度になるほど多く、日照時間が関係しているのではないかと考えられていますが、まだ全容は明らかにされていません。

次週、この冬季うつについて書きたいと思います。

 

臨床心理士 川瀬まり Mari Kawase
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