著作権1 目的と保護のための要件

よく知られているように、日本人はクリエイティブな民族です。ソニーや三菱にはじまる世界企業や、宮崎駿監督の『千と千尋の神隠し』などマンガやアニメの作品もグローバルに成功しています。

もし、あなたもクリエイティブな才能をもってベルギーに来たとしたなら、ウェブサイトをデザインしたり、地元企業のために文章を書いたりするかもしれません。ベルギー市場向けのグッズをデザインすることだってあるでしょう。ベルギーで売れる本を書いてみたいなんて思ったりしませんか?

枚挙にいとまはありませんが、まさに創造の精神に限界などないのです。しかし、そのプロジェクトを始める前、もしくはマーケットに持って行く前に、ここベルギーではクリエイティブな作品にどのような保護がかけられているか、どのような著作権が適用されるか疑問に思うことでしょう。

本稿では、まさにこの問題を取り上げます。どういった種類の作品がベルギーの著作権法で保護され、どういった条件があるのかについて知っておきましょう。

 

1.ベルギーでは著作権は存在しない。

タイトルを一目見て、なんて奇妙なことだとお思いでしょうが、ベルギーでは著作権(コピーライト)というものは存在しないのです。

しかし、同等のものがあります。フランス語で Droit d’auteur、オランダ語で Auteursrecht というものです。

Droit d’auteurは文字通り「作者の権利」という意味です。アングロ・サクソンの著作権とは全く異なるシステムと言えます。大きな違いのひとつは、Droit d’auteur の下では登録要件がないということです。つまり、Droit d’auteur によって権利を保護するためには、創作の事実だけあれば事足りるということです。作品の作者でありさえすればよい。

例をあげると、本を書いて出版した事実があれば、Droit d’auteur が生まれるのであって、その本をどこかに登録する必要はないのです。

最後に、この二つのシステムの違いがあるにせよ、海賊版が出回ったりした場合には Droit d’auteur によって同様の保護が適用されます。このため、以下本稿では Droit d’auteur のことをいわゆる著作権として扱うことにします。

 

2.保護の対象

著作権について国際的な取り決めがされた「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」の第一項によると、「文学的および芸術的作品」のみが著作権の保護を受けられるとなっています。

「文学的」もしくは「芸術的」とはどういった意味でしょうか? 実際のところ、ベルヌ条約は解釈しだいで、ほぼどんなものでも著作権保護の対象として扱われかねない非常にまぎらわしい言葉が使われています。椅子、机、車の形、本、映画、洋服のデザイン、ウェブサイト・・・。創造性に枠が当てはまらないように、保護対象もはてしなく続いていきそうです。

ただし「ほぼどんなものでも」と限定されているのは、保護されるには二つの条件をクリアしなければならないからです。すなわち・・・

  • 形を持たなければならない。
  • その形はオリジナルでなければならない。

 

3.保護要件 形が必要

外部の世界に作品を伝えるために、何らかの「形」として表現されていれば、その作品は著作権の下で保護されます。

例えば、本の構成やその内容をなす文章、作曲された歌、固有のデザインをもった椅子、もしくはスマートフォン・・・。ただのアイデアだけでは保護されないという条件が伴っているのです。著作権はアイデアの表現を保護するのみなのです。

さらに例を見てみましょう。

あなたは本を書きたいと思っている。筋書きのアイデアはすでにあって、それについて友達と語り合う。しかし、あなたはなかなか実際の執筆作業を開始しない。数ヶ月経ち、あなたの友達がまったく同じ筋書きを使って本を書いたと知ることになりました。これはベルギーの著作権法の侵害にあたるでしょうか?

残念ながら、自分の筋書きのアイデアだとしても、これは保護の対象にはなりません。なぜなら、それは抽象的なもので、どういった形にせよ表現されていないからです。あなたの友人は著作権を侵害していません。

しかしながら、もしそれよりも前に執筆に取りかかっていて形になってさえいれば、保護の対象になったことでしょう。

(ただし、もし他人にアイデアが盗まれたとしたら、非行を禁じるベルギー民法1382項で保護される可能性があり、ベルギーの経済法VI.104項における不正競争禁止法で保護されることも可能であることを留意しておきましょう)

 

4.保護要件 オリジナルであること

「オリジナルであること」とは、どういった意味でしょうか? 具体的には創造性と作者の個性の跡が見られることです。簡単に言えば、「ありふれたもの」ではないという概念です。どこにでもある作品、その分野で活動するだれもが作れてしまうような作品は保護されません。

この要件は非常に主観的だな、法律の知識しだいでどうとでも解釈可能ではないか、と感じられる方も多いでしょう。自分の作った作品に関して、何らかの契約書にサインする前には、必ず著作権法に精通したその道のプロに意見を聞いてからにしたほうがよいでしょう。

 

5.登録要件はなし、ただし・・・

先述したように、著作権保護の恩恵を受けるために作品を登録する必要はありません。しかしながら、自分の作品が制作された日付を証明するには、万一の場合を考えて登録しておいたほうがいいかもしれません。例えば、同じ作品を二人の人が発表したケース。作品を登録しておけば、相手のほうが自分より後に作品を作ったのだと証明できます。

登録するには、Service public federal Finances にある登録事務所 bureau d’enregistrement(フランス語)registratiekantoor(オランダ語)に行けばよいでしょう。

 

6.キー・メモ

自分の作品が保護の対象になるのか知りたい方は、以下のステップでチェックしてみましょう。 

  • その創作物は世間一般に伝わるように形となって表現されていますか? もしそうであれば、最初のステップは満たされています。もし形になっていなければ、自分のアイデアに形を与えるべく創作活動を進めなければなりません。(例:筋書きのアイデアに沿って細かい部分を書いていくなど)
  • あなたの作品はオリジナルですか? 自分で診断をしてみるとよいでしょう。ただし、主観性が高い度合いでつきまとう条件であることを鑑みて、迷ったときは契約書を結ぼうとする前に、その道に精通した法律家に相談するほうがよいでしょう。(事後より事前に相談するほうが、安くつく場合が多いのです)
  • 必ずしも登録する必要はありませんが、制作の日付を証明しなければならない事態に陥った場合は、しておけばよかったと思うことでしょう。

 

Jean-Ferdinand Puyraimond
Chantal Bastide
Lawyers admitted to the Brussels Bar
Gutmer & Puyraimond

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