王の家ボードレール展 Baudelaire Bruxelles

ベルギー人は全員、ひとりも例外なく、頭蓋骨の中が空っぽだ!

憎しみに満ちた言葉は、フランスの詩人ボードレールのもの。晩年2年間、ベルギーに暮らした孤高の天才について、グラン・プラス「王の家」で展示が催されています。

ボードレール先生、虫の居所が相当悪かったのでしょうか、自分から移り住んできておきながら、ベルギー人に対して侮辱の暴言です。

文豪のヴィクトル・ユーゴーが「世界で最も美しい広場」と、グランプラスを絶賛したのと真逆な感情は、なぜ生まれたのでしょうか?

ボードレールの生涯

シャルル・ボードレールは1821年パリ生まれ。両親は年の差カップルだったため、シャルル少年がまだ6歳のころ、父親が死去。若い母はすぐに再婚相手を見つけて家族でリヨンに移り住みます。

才能あふれる青年に育ち、15歳でパリに戻りますが、素行に問題があり放校処分を受けたりと、不安定な青年期を過ごします。

実の父親が残した財産を20歳で相続したはいいものの、周囲が驚くほど散財するため、義父のオーピック氏からインド行き遠洋航路の汽船に強制的に乗せられるという処分を受けます。モーリシャスまで行ったところで逃げ出し、パリに戻って豪奢な生活を再開。

美しいホテル・ピモダンに逗留し、混血の女性ジャンヌ・デュヴァルと付き合ったり、名作『悪の華』を執筆したりと、人生最良の時間を過ごします。

詩人としてだけでなく、文芸と美術の批評家、エドガー・アラン・ポーの翻訳者、政治運動家としても活躍しながらも、なにか心に闇を抱えて散財を繰り返し、肉体、精神的にもボロボロになっていくボードレール。

栄光と挫折。浮き沈みの激しい人生を送って疲れきってしまったのか、借金取りから逃れる必要性もあってのことか、1864年、43歳になった頃、不機嫌な詩人はパリからブリュッセルに移住するのです。

展示 Baudelaire >< Bruxelles

ボードレールの生前には出版されませんでしたが、ベルギーの悪口ばかりを書いた原稿「みじめなベルギー!」(Pauvre Belgique!)があります。

今回の展示は、この未発表原稿の内容をからめながら、当時のベルギーの様子をテーマごとに紹介してしまおう、というまさにベルギーらしいシュールなエスプリの発揮された企画です。

初代国王レオポルド1世の晩年の治世、センヌ川の様子、女性、犬などなど。もちろん悪口ばかり。

ちょっと田舎に引っ越したら、スポンサーが集まってきてチヤホヤされると思ったのでしょうか、人生そんなに甘くはないのです。

1866年に友人の画家フェリシアン・ロップスなどとナミュール見学に出かけ、ルー教会を訪問後に卒倒します。脳神経に異常をきたし治療を受けるも、翌年パリで死去。46歳でした。

さて、これをお読みの貴方、ベルギーに移り住んできたものの、天気は悪いし、英語は通じないし、仕事はいいかげんだし、フザケテルダイキライサイテーベルギー人アホばっか!と、ご機嫌斜めじゃありませんか? そんな貴方にぴったりの展覧会です。おおむね満足の貴方も、少しは不満はないでしょうか? ボードレール先生と悪口大会しましょう。


王の家 ボードレール・ブリュッセル展
会場:Grand Place, Bruxelles
会期:2017年9月7日~2018年3月11日
開館時間:10~17時
休館日:月曜日
料金:一般8ユーロ、シニア6ユーロ、学生4ユーロ、子供無料
tel : +32 2 279 43 50
※言語はフランス語とオランダ語が中心です。