ベルギーの政治システム

複雑なベルギー政治の基本システムを、できるだけ簡単にご説明いたします! キーワードは王室、連邦政府、地域政府、コミュニティー政府です。

ベルギー王室

ベルギーは立憲君主制の国です。日本と似ていますね。王様が国のトップに君臨し、憲法と議会が実際には国家を統治します。

ただし、日本と違い現在のベルギーでは、性別に関係なく国王の第一子が王座を継承します。つまり、王様(フィリップ王)と王妃(マチルダ妃)の間に生まれた第一子(エリザベス王女)がお世継ぎです。

国王は国の統一の象徴。即位のときに、憲法と法律の遵守、国家の独立と国土の統合を守ることを誓います。

「象徴」といえば日本の皇室と似ていますが、分裂しがちな政治の対話において交渉を促す役割があります。例えば、新政府の連立交渉において、交渉をリードする政治家を指名する。意見を共有し交渉するインフォルマター、その後「内閣」を成立させるフォルマターを指命するのが国王の役割です。

さらに、王様がベルギー軍の最高司令官という立場ですが、ベルギー軍自体がNATOの指揮下にあるので、実質的な権限はありません。

連邦政府

ベルギーの中央政府が、財政、軍事、連邦警察、司法、社会保障、外交、公衆衛生、金融政策、原子力発電、国営企業(鉄道、郵便)など、国家の中心的な部分を管轄します。その権限はベルギー全土に及びます。

議会は2つあり、上院と下院。そのうち下院の権力が強いのが特徴です。世界の主要国でも同じような二議会制がとられていますね。「ベルギーの下院=日本の衆議院」みたいなイメージでとらえていただいて結構だと思います。

地域政府(フランダース、ワロン、ブリュッセル)

それぞれの地域の経済、雇用、農業、水道、住居、公共工事、エネルギー、交通(鉄道を除く)環境、都市計画、自然保護、外国との貿易など。実現していませんが、日本の道州制構想に似ていなくもないです。ある程度大きなまとまりの地方自治体に、自治権が与えられています。

「外国との貿易」という権利があるため、2016年にEUとカナダの包括的貿易協定(CETA)をワロン政府が阻止するという事態が発生しました。

コミュニティー政府(オランダ語、フランス語、ドイツ語の共同体)

多言語国家ベルギーには、言語や文化に関わる部分の行政サービスを提供するシステムが存在します。これは「言語」で分かれており、オランダ語、フランス語、ドイツ語のグループが存在します。

内容は、文化(劇場、図書館、オーディオ・ビジュアル・メディア)、教育、青少年の育成、家族支援、移民支援など。言語や文化によって差別がないよう、平等な社会を作るためのシステムと言えます。

【まとめ】

基本の考え方は以上の通り。権限の及ぶ範囲が異なる連邦政府、地域政府、コミュニティーの3つのシステムが行政を動かしています。実際にどういった組織で動いているかなど、厳密にいうともうちょっと込み入っています。また、州(プロヴィンス)とコミューン(地区)という、地理的により細かく別れた地方自治体もあります。

複雑ですが、興味深いベルギーの政治システム、日本でも参考になるアイデアがいっぱいだと思います!