ベルギー人の「国民的歌手」といえば、ル・グランド・ジョジョ。故郷ベルギーを強く匂わせる庶民の歌は、気軽で安いビールの味がする。
ル・グランド・ジョジョの名前で知られるジャン・ヴァノバーゲンは、1936年7月6日ブリュッセル生まれの歌手。
広告デザイナーや漫画のイラストレーターをしていたが、時代の空気を映し出すコミック・ソングを自ら作詞作曲するシンガー・ソングライターに転向した。
代表作は「Chef, un p'tit verre, on a soif」(意訳:大将、一杯頼むよ、喉がカラカラ)と、「Jules César」(ジュール・セザール/ユリウス・カエサル)。
1998年には国からレオポルド勲章の騎士号を受け取っている。
「これぞベルギー!」のチープ感
ベルギー、もしくはベルギー人らしさって何?と聞かれたときに、ディプロマティックで、人間性が優しくて、生活がのんびりしていて、真面目で、目立つのが苦手で、パーティーやダンスになるとちょっとノリが悪くて、、、、といろいろあるが、グランド・ジョジョの歌にも、なんだかそういう「ベルギー臭」が漂っている気がする。
最近でかけていった誕生日パーティーで、あるベルギー人の青年が語ったのが、意外に頭にひっかかっているので、書き残しておきたい。20代、30代前半くらいの若い人が多く、ビールやワインやマルティニークのラム酒を飲みながらダラダラ話をしていると、意外にフランス人が多くてベルギー人が少数派というのが分かった。
「フランス人とベルギー人は、どこがどう違うの?」と、無責任に訊いてみた。
「それはね・・・」とベルギー人青年が話し出すと、すかさずフランス人女子たちが「おっとっと、あなた気をつけなさいよ!」とツッコミを入れる。
「それは、フランスは大国で、自分たちが大国だってことを知りながら、考え行動するのですよ」。
「ベルギーは?」
「ベルギーは小さい国だから、フランスみたいに強気には出れない。小国だと自覚しながら行動する。これがフランスとベルギーの違いさ」。
そのとき、誕生日パーティーで流れていたのは、残念ながらジョジョおじさんの歌ではなくストロマエだった。