暖房のない冬の日

日曜日の朝。素敵な青空が広がっているのに、起きると冷えこみがひどい。例年に比べて今年は暖冬だけれど、今頃になって寒くなってきたんだと思いながら温度計を見ると、なんと2度。家の中なのに、ちょっと寒すぎない?

それにしても近年まれな冷えこみだわ。などと考えながら、暖房用のラジエーターがMAXの5に設定されているか確かめようとすると・・・。なんと暖かいはずのラジエーターが氷のように冷たいではないか。寝室のラジエーターだけが壊れているのかと思い、慌てて他の部屋もチェック。なんと全滅。なんてこと! この寒い冬に、暖房がないなんて。

これまでセントラルヒーティングは暖かいし、建物全体を暖めてくれるから素晴らしいと思っていたが、動かないとなると大変だ。家の中にいるのに、まるでホームレスにでもなってしまった気分だ。暖房だけでなく、お湯も出ない。お風呂に入ることもできない。この極寒の日に、暖房がないのは堪える。

しかし、そう忘れてはいけない、ここはベルギーである。日曜日は不動産屋さんや、建物の管理会社に連絡したところで電話はつながらない。もちろんダメもとでトライはしたけれど、やっぱり誰も出ない。ミチルの契約している不動産屋さんは月曜も休みだから、これは火曜にならないと直らないかもしれない。暖房がないだけで、こんなに哀しいなんて。

午後からは幸運にも、友人宅のアフタヌーンティーに招かれていたので、まさかブリュッセル全体の暖房が動かなくなってしまった、なんてことはないだろうと祈りつつ、友人宅へ。一歩家の中に入ると、とても暖かくて、朝からずっと寒くて震えていたミチルは、一人でその暖かさに感激していた。

さすがブリュッセル在住の友人は、暖房事件の話にも驚かない。「分かってるでしょ? 僕たちは今ベルギーに住んでいるんだよ? だいたい何も問題ないことの方が珍しいじゃない? ま、早く直るといいね」と、まあこの調子である。

その後、凍えるようなアパートに戻ってきた。それまで不在だったお隣さんが帰ってきたようなのでドアをノックすると、「あー、ラジエーターのこと? あれ、土曜日の夜から動いてないわよね。ちょっと夫が地下にあるボイラーを見に行っているから、もしかしたらもうすぐなんとかなるかも。それでもダメなら、明日業者に連絡してみるつもりよ」と、全く動じていない。まあそのうち何とかなるだろう、という様子である。

このお隣さんのおかげで、結局何とかその日のうちに持ち直したのだが、それにしてもセントラルヒーティングは、一度冷えると元の温度に戻すのは非常に時間がかかると読んだことがある。その通りのようで、ラジエーターは暖かくなっているにも関わらず2日経った今も、建物全体が底冷えした感じが拭えない。

想像力だけは豊かなミチルは、ホームレスの人たちの大変さがちょっぴり分かった気がしたのであった。9.mar.2016