地下鉄の検札コントロール

久しぶりにメトロに乗ってお出かけ。友人が出演していた夜8時半開演のコンテンポラリーダンスを観て、親しい友人たちとお茶をしての帰りだったので、すっかり遅くなってしまった。

メトロの駅で、「あ、もう電車が来たから早く乗ろうよ!」と叫び、(切符なんか買わなくても大丈夫だよ!)と言いたげな友人たちを尻目に、切符を買っていると、やはり一本見送る羽目になってしまった。そうこうしていると次の電車がやってきた。

いそいそと乗り込み、ルイーズ駅で降り、駅のプラットフォームから階段を上がると、なんとそこには、灰色の制服に身を包んだセキュリティ関係の人らしき人たちが、15人ほど物々しい雰囲気で出口の前に立っているではないか。

夜11時を過ぎていたから、普段は人の多いルイーズ駅も、 私たちを含めて数えるくらいしか降りなかった。まさか、またテロ事件でも起こったのではないか! その人たちを見て、何も知らないミチルはドキドキ胸騒ぎ。すると横にいたチルチルが、

「あ、ミチル、コントロールだね」と平気な顔で言う。

「え? コントロール?」

そっか、これがあのウワサのコントロールなんだ! ミチルは8年以上ブリュッセルに住んでいるが、車での移動が多かったせいか今日この日まで実際に「コントロール」されたことがなかった。

 

ブリュッセルでは、駅によって必ずしも切符を持っていなくても簡単に電車に乗れたり、切符なしで出口から出られる仕組みになっている。これを悪用して無賃乗車する輩も少なからずいる。そこで「コントロール」と呼ばれる、抜き打ち検査が存在しているのである。初犯が107ユーロ、さらに2年以内に再犯となると214ユーロの罰金を支払わなければならない。

昔、この検札がもっとゆるかった時代、ケチな(倹約家の?)オランダ人の同僚などは、一度コントロールに合うまで、無賃乗車を続ける方が、トータルコストとして考えると自分の財布に優しいよ、なんて冗談とも本気ともつかない調子で言っていたものだ。

それがいつのまにかメトロの入り口に改札機が設けられ、切符なしで入ることが難しくなった。個人の良心を重んじる大人の思想を感じることができた以前のベルギーの寛容さがなくなってきたかと思うと残念でもある。でも「無賃乗車が可能」という状況を悪用する人が増えれば増えるほど、経済活動を営むSTIBにとっては死活問題だから、昔のほうがよかったとか悠長なことは言ってられない。

まあ、というわけで、ミチルはベルギー生活9年目にしてはじめて「コントロール」の現場に居合わせることができたのであった。皆さんも、もしメトロやトラムの出口で大勢の制服組に囲まれるようなことがあれば、それはコントロール、ということかもしれない。24.feb.2016