キュベルドン

フランダース地方、とくにゲントで食べられるグミ。

外は若干乾いていてカサカサ。中はしっとりとしてそのギャップが面白い食感。

濃いパープルが基本ですが、いろいろな色と風味のバリエーションもある。私が好きなのはショウガ味。結構刺激的でやみつきになる。

ところで、日本語の文章で散見される「キュベルドンというお菓子(グミ)の名前はオランダ語で鼻を意味する」というのは若干勘違いというか中途半端な解説である。

フランス語やドイツ語にくらべて、ましてや英語にくらべて、オランダ語を理解する日本人は少ない。だからなのか、オランダ語についての情報は、いったん間違って紹介されてしまうと、コピーのコピーまで間違って説明されてしまう可能性が高い。だれも指摘しないのだろうか? アントワープやオランダ本国アムステルダムなどには、それなりのオランダ語使いはいるはずなのに・・・。

キュベルドンについては、正確には「円錐形で鼻のようだから別名Neus(ネウス:英語のNoseと一緒)と呼ばれている」と書かなければならない。キュベルドンという言葉自体に「鼻」という意味はない。

もっというと、オランダ語は何かしら小さいものについては語尾に「チェ」とか「ケ」とかを付けたりする。キュベルドンは小さく数も多いので、語尾に「チェ」と複数形のSがついて、Neusjes(ネウスチェス)と一般的に呼ばれる。「チェ」を付けない場合は、Neusの複数形はNeuzen(ネウゼン)となる。

ちなみに、この語尾にチェを付けること(ディミュニティブ)は、あきれるくらい頻繁に使われる。日本でも有名なミッフィーはオランダではネインチェ(もしくはナインチェとも)が愛称。日本語でも「うさこちゃん」という。たしかにオランダ語のチェは日本の「ちゃん」に似ている。

さて、脱線から戻って、じゃあ、キュベルドンというのは如何なる名前なのか調べてみても、諸説入り乱れて不明というのが現状。

起源は1873年にゲントの薬剤師De Vynck氏により発明されたというまことしやかな説があるけれど、これも否定する人がいる。謎は深まるばかり。

ゲントでは、下の写真のように、屋台で売られていたりして。De echte Gentse Neuzen(真のゲントの鼻)、ぜひお召し上がりください。

photo) DimiTalen, Gordito1869

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